2009年11月24日

ここ最近の読書

いくつかまとめて。
『温かな手』(2007年 著者:石持浅海 東京創元社)
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ちょっとSF風味な連作ミステリー(どの辺がSFなのかはネタバレになるので伏せる)。
どのお話も短めでわかりやすく、さらっと読めて、素直に「あー面白かった」と言える作品だった。


『薔薇の名前』(1990年 著者:ウンベルト・エーコ 訳:河島英昭 東京創元社)
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タイトルと「凄い小説」という評価だけは知っていた作品。図書館で見つけたので借りてきた。
文章は長くて難しいし固有名詞が多いし人物名も長くて覚えられないしで、序盤で挫折しかけたが、
上巻を半分過ぎた辺りからぐんぐん面白くなってきて、その後は下巻まで一気に読めた。

僕は歴史ミステリーとして読んだが、それでも十分すぎるほどの傑作だと思う。ようやく「真相」に辿り着いたと安堵してる読者を、探偵役のたった一言で愕然とさせる作者の腕が凄すぎる。

そしてそのミステリーの体裁をとった物語の下に(あるいは上に)、書物や記号を巡る別の物語が埋め込まれている・・・らしいのだが、とっかかりらしきものはわかっても、読み解けた気は全然しない。何度も読み直せば、いつか分かる日が(分かった気になれる日が)来るんだろうか・・・


『フロム・ヘル』(2009年 作:アラン・ムーア 画:エディ・キャンベル 訳:柳下毅一郎 みすず書房)
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『ウォッチメン』のアラン・ムーアによる、切り裂きジャックをモチーフにした暗黒コミック。

ジョニー・デップ主演の映画版は微妙な出来だったし値段は高いしで、買おうかどうか迷っていたけれど、傑作との評価があちこちから聞こえてきたので、結局購入。

で、読了した感想としては、これは買ってよかったと。これを邦訳して出版してくださった柳下さん、みすず書房の皆さん、本当にありがとうと。

物語の構成の巧みさ、心理描写、絵の密度、全てが半端ない。でもコミックだから小説よりも入っていきやすい。普段は意識しないで消費してばっかりだけど、漫画って凄いメディアなんだなあ、と痛感させられた。

そして、史実と矛盾しない形で、こんな話を生み出せるアラン・ムーアは本当に人間なんだろうか・・・もう過ぎ去って確定したはずの過去の出来事が、こんなにも自在に変化するのを見せられると、歴史って信用ならねえなあ、と思ってしまう(だからって歴史を勉強することが無意味だとは思わないが)。

『薔薇の名前』に続き、素晴らしい読書体験だった。
さて、「頑張って読む」とか言っておきながら、放り出したまんまの『V for Vendetta(原書)』を、もう一度引っ張り出してみようか・・・

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Posted by t-sa at 01:46│Comments(0)読書
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