2009年07月04日

リボルバー

交換に出してたV for Vendettaがやっと届いた。
さすがに今度は落丁はない。一安心。

改めて、少しずつ読んでいくことにしよう。


というわけで今日の映画感想文。

『リボルバー』(2008年 監督:ガイ・リッチー 主演:ジェイソン・スティサム)
リボルバー
カジノ王・マカの仕切るギャンブルでもめ事を起こし、兄・ビリーの妻を殺されたあげく、自身も刑務所に入れられてしまったギャンブラー、ジェイク・グリーン。9年後、ジェイクは復讐のため、再びマカの前に現れ、宣戦布告をする。その直後、マカの放ったヒットマン・ソーターに狙われたジェイクは、ザックという名の謎の大男に命を救われる。ザックに導かれるまま、ジェイクはアヴィという黒人の元に連れて行かれ、彼から「マカから命を守ってほしければお前の全財産をよこせ」という取引を持ちかけられる・・・
(ストーリーの解釈など、重要なネタバレがあります。一応伏字にしてありますが、なるべくなら本編を観たあとに読んでください。無駄に長い文章だし)
『ロック,ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』『スナッチ』のガイ・リッチー監督の最新作で、
製作総指揮はリュック・ベッソン。

上の2作が大好きなのでわりと期待して観たんだが、正直1回目を観た時の感想は「???」だった。
なんかこう、デヴィッド・リンチの映画みたいだなと。

で、もう1回観てみて、なんとなくストーリーが理解できた気がするので、
個人的な解釈を書いてみる。

以下、超ネタバレにつき伏字ばっかりです。

タイトルになっている『リボルバー』が表わすのは、他ならぬ主人公・ジェイクのこと。
リボルバー(回転式拳銃)の装弾数は通常6発。すなわち彼は、主人格の「ジェイク」を含めて6つの人格を持つ多重人格者。

具体的には、
ジェイク・グリーン(白人の凄腕ギャンブラー)
サム・ゴールド(正体不明で強大な権力を持つ裏社会の大物)
アヴィ(黒人でチェスの達人)
ザック(大男の天才詐欺師)
「ジェイク」の相棒兼(心の)護衛役の名も無き男2人
の6つ。

「ジェイク」を除く人格で最も古いのは「ゴールド」で、
彼は長年にわたって「ジェイク」を陰で支配し、裏社会での権力を増大させていた。

しかしマカとのいざこざで身内に死人が出て、自分も刑務所に入れられたことをきっかけとして、
「ジェイク」は「ゴールド」の支配から自分を解き放ち、同時にマカにも復讐することを無意識のうちに決意する。

だが、「ゴールド」は「ジェイク」の手綱を掴んでいるため、「ジェイク」が事を起こせばすぐばれてしまう。

そこで「ジェイク」は、刑期を務めた7年間の間に、自分の独房の両隣にいたチェスの達人とペテンの巨匠の2人をモデルとして、
「アヴィ」と「ザック」の人格を創り上げる。

さらに、自分の危機感を煽り、「アヴィ」たちに従わざるを得ない状況を作るために、
生贄役(「ジェイク」の目の前で殺される役)として、2人の名も無き男たちの人格をも創った。

そして計画の主導権を「アヴィ」と「ザック」に譲り渡し、
自分はわけがわからないまま彼らに引き摺りまわされる道化役を演じることで、
「ゴールド」の目を盗み、目的達成に向けて計画を進めていった、

というお話だと思う。

1回目の時点で、「ゴールド」「アヴィ」「ザック」が「ジェイク」の別人格だということはわかった。

護衛役の2人も「ジェイク」の別人格だと考えたのは、序盤、「ジェイク」を襲った直後の殺し屋・ソーターが、
本来は百発百中の腕を誇るはずなのに「3回も照準を合わせたはずなのに仕留めそこなった」と不思議がるシーンがあったから。

本編を観てると、ソーターはウェイトレスに変装した殺し屋の正体をいち早く見抜いたり、
壁や天井越しでも正確に人を射殺できたりと、「人の気配を察知する能力」に異常に長けていることがわかる。

「ジェイク」を狙ったときも、その能力を活かして、彼の部屋に潜んで壁越しに(「ジェイク」を見ることなく気配だけで)発砲した。
しかし、その能力があまりに鋭すぎたため、実在することのない(しかし「ジェイク」はそこにいると思い込んでいる)彼の別人格3人(護衛役2人と「ザック」)の気配まで感じ取ってしまい、存在しない相手に照準を合わせて発砲してしまった、
と考えると、前述した「3回も~」の事実と辻褄が合う。

実際、「ジェイク」を除く5人が実在しないと仮定して映画を観ても、
実際に起こった現象(「ジェイク」以外の人物の行動など)には矛盾が起きないように作られている。

というわけで、自己満足ながらストーリーには納得がいった。

また映像の点でも、マカのイメージカラーは青、
マカと敵対する中国系マフィア・ジョン卿のイメージカラーは赤で、
そこにジェイク・グリーン(緑)が介入し、
この3者(光の3原色)が交わることで全ての問題が解決して「真っ白」な状態になる、という結末を暗示させる仕掛けが施されている。


期待とは違ったし、映像のスピードが速くて観るのがしんどかったが、2回目を観た後には、面白い映画だったと思えた。

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Posted by t-sa at 23:11│Comments(6)映画
この記事へのコメント
映画を見たけどまったくわけわからなくて、ネットで調べていたらこのブログにたどり着きました。一番わかりやすかったです。
Posted by あすぱら at 2010年08月07日 05:47
なるほど。素晴らしい解説に脱帽。
Posted by しん at 2011年02月16日 23:43
ソーターの「3回も照準を合わせた...」というのはそういう事だったんですね。
後半あたり映画のテンポが早すぎて
考えがまとまらないまま終わってしまいましたが、
このブログを見てスッキリしました。
Posted by tak at 2011年09月26日 21:25
一回目に観たとき、内容は理解できないが なんかとてつもなく面白い雰囲気 だと思っていました。
題名を忘れていたので、かなり間をあけてしまったが 2回目をみて やっぱりわからない;
多重人格なの? とは思ってはいたけど、アヴィとザックは微妙で、仲間の二人が主人公の別の人格とは思えなかったわ~
私もここにたどり着いてスッキリしました ありがとうございます^^
Posted by ぼな at 2012年08月17日 18:12
こんにちは。あなた天才ですね!
9割以上の評価だダメダメ映画の烙印ですが、
リュック・べッソンとガイ・リッチーが創った映画でその上、ガイ・リッチーが脚本に3年も掛けたのに駄作なわけないじゃないですよね。自分達が理解力もなく理解する気もなく雰囲気だけ見てモノいう自称映画通全員にこのレビューを見せてやりたいです。
この映画は、「マネー・ゲームから脱出する方法」の著者、ロバート・シャインフィールドさんお勧めの映画です。

http://onasu.exblog.jp/19926114/
Posted by kiyomi at 2013年02月07日 11:27
なるほどジェイクはマカにビビってほんとは戦いたくなかったんですね
「俺を恐ろ」っていうのは、ジェイクがマカにそう言わせたかったか、
実際に恐れなくなってたからか
Posted by うん at 2016年04月12日 16:42
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