2009年06月19日
予告された殺人の記録/十二の遍歴の物語
現在ジャ〇コに行くと、BGMがわりに
「劇場版前売り券を買うと、君のソフトに限定ポ〇モンをプレゼント!!」
「ピカ~♪(凄く嬉しそう)」
というサ〇シとピ〇チ〇ウの元気な声が流れている。
・・・ああ、こうやって子供たちが商業主義の食い物にされていくのだな、と世の無常に思いを馳せた。
絶望した!! 自分に!!
というわけで、今日は映画ではなく読書感想文。
『予告された殺人の記録/十二の遍歴の物語』(著者:ガブリエル・ガルシア=マルケス 訳:野谷文昭、旦敬介)
「劇場版前売り券を買うと、君のソフトに限定ポ〇モンをプレゼント!!」
「ピカ~♪(凄く嬉しそう)」
というサ〇シとピ〇チ〇ウの元気な声が流れている。
・・・ああ、こうやって子供たちが商業主義の食い物にされていくのだな、と世の無常に思いを馳せた。
絶望した!! 自分に!!
というわけで、今日は映画ではなく読書感想文。
『予告された殺人の記録/十二の遍歴の物語』(著者:ガブリエル・ガルシア=マルケス 訳:野谷文昭、旦敬介)
先月号の本の雑誌で、豊崎由美が「外国文学読むならとりあえずマルケス読んどけ」と書いてたので手に取ってみた1冊。
マルケスというと『百年の孤独』が有名(僕もタイトルだけは聞いたことがあった)だが、今まで読んだことはなし。
敷居が高そうな感じがしたけど頑張って読んでみた。
中篇小説『予告された殺人の記録』と、その名の通り12本の短篇を集めた『十二の遍歴の物語』、そしてマルケスのノーベル文学賞受賞式でのスピーチが収められた本。スピーチの感想を書くのはアレなので、小説の感想をそれぞれ書いてみる。
『予告された殺人の記録』
実際にあった事件をもとにして書かれたノンフィクション風の小説、というややこしい作品。
「自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝、五時半に起きた」
というインパクト抜群の書き出しから始まって、南米のとある村で、犯人たちが周りの人間に殺意を隠そうともしなかったにもかかわらず、起きてしまった殺人事件の顛末を描く。
実際に事件を目撃した「私」が、事件から十数年経ってから、関係者に話を聞き、当日の出来事を再現する、という形で綴られている。
書き出しで引き込まれ、最初は調子よく読んでいたんだが、
ときに時系列を遡りつつ、ちょっとくどいくらいに緻密に村の様子が描写され、さらに中篇小説のわりに登場人物が多いため、中盤は正直読むのがしんどかった。
しかしそこを超えて、村人たちの何気ない行動が、何かに操られたように凄惨な悲劇へと収束し始めるところからかなり面白くなり、
あとはもう結末まで一気読みだった。
この作品で描かれるのは、「“村”という共同体に無意識のうちに許容された殺人」で、諸星大二郎の『黒石島殺人事件』を思い出した。まあそんなテーマがどうとか考えずに、サスペンスとして読んでも、十分面白いお話だった(マルケス本人も、『予告された殺人の記録』が自身の最高傑作だと言ってるらしい)。
『十二の遍歴の物語』
現実から少しずれた場所を描いた短篇集、というのが全体の印象。こういうのをマジック・リアリズムというのか?
面白かった、と素直に思えるものもあったし、なんじゃこりゃと首をひねったものもあり。まあ短篇集ってそんなもんだよね。
個人的に面白かったのは、
『眠れる美女の飛行』『八月の亡霊』『悦楽のマリア』『トラモンターナ』『ミセス・フォーブスの幸福な夏』『光は水のよう』あたり。けっこう多いな。
ちなみに、なにが「遍歴」なのかは、作者の前書きで触れられてます。
読む前はどうかなと思ってたけど、普通に面白かった。『百年の孤独』も今度読んでみよう。
マルケスというと『百年の孤独』が有名(僕もタイトルだけは聞いたことがあった)だが、今まで読んだことはなし。
敷居が高そうな感じがしたけど頑張って読んでみた。
中篇小説『予告された殺人の記録』と、その名の通り12本の短篇を集めた『十二の遍歴の物語』、そしてマルケスのノーベル文学賞受賞式でのスピーチが収められた本。スピーチの感想を書くのはアレなので、小説の感想をそれぞれ書いてみる。
『予告された殺人の記録』
実際にあった事件をもとにして書かれたノンフィクション風の小説、というややこしい作品。
「自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝、五時半に起きた」
というインパクト抜群の書き出しから始まって、南米のとある村で、犯人たちが周りの人間に殺意を隠そうともしなかったにもかかわらず、起きてしまった殺人事件の顛末を描く。
実際に事件を目撃した「私」が、事件から十数年経ってから、関係者に話を聞き、当日の出来事を再現する、という形で綴られている。
書き出しで引き込まれ、最初は調子よく読んでいたんだが、
ときに時系列を遡りつつ、ちょっとくどいくらいに緻密に村の様子が描写され、さらに中篇小説のわりに登場人物が多いため、中盤は正直読むのがしんどかった。
しかしそこを超えて、村人たちの何気ない行動が、何かに操られたように凄惨な悲劇へと収束し始めるところからかなり面白くなり、
あとはもう結末まで一気読みだった。
この作品で描かれるのは、「“村”という共同体に無意識のうちに許容された殺人」で、諸星大二郎の『黒石島殺人事件』を思い出した。まあそんなテーマがどうとか考えずに、サスペンスとして読んでも、十分面白いお話だった(マルケス本人も、『予告された殺人の記録』が自身の最高傑作だと言ってるらしい)。
『十二の遍歴の物語』
現実から少しずれた場所を描いた短篇集、というのが全体の印象。こういうのをマジック・リアリズムというのか?
面白かった、と素直に思えるものもあったし、なんじゃこりゃと首をひねったものもあり。まあ短篇集ってそんなもんだよね。
個人的に面白かったのは、
『眠れる美女の飛行』『八月の亡霊』『悦楽のマリア』『トラモンターナ』『ミセス・フォーブスの幸福な夏』『光は水のよう』あたり。けっこう多いな。
ちなみに、なにが「遍歴」なのかは、作者の前書きで触れられてます。
読む前はどうかなと思ってたけど、普通に面白かった。『百年の孤独』も今度読んでみよう。
Posted by t-sa at 12:05│Comments(0)│読書
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